ピロリ菌の除菌治療について
はじめに
ヘリコバクターピロリ菌(Helicobacter pylori)がオーストラリアのウォーレンとマーシャルらによって発見されてから30年近くが経ち、様々な疾患の原因となっていることが証明されてきました。 以前ならば再発を繰り返して治療が困難であった胃十二指腸潰瘍は除菌治療を行うことでほぼ再発を防ぎ、胃癌に関しては、ピロリ菌感染が、その発生原因となることが証明され、さらに除菌治療を行うことで、胃癌の発生自体を予防することができる事も長年の研究によって証明されました。 その様な中で2013年2月についにすべての除菌治療が保険適応となり、これまで一部自費治療で施行しなければならなかった除菌治療も保険対象となりました。 これからはすべての人がピロリ菌の除菌治療を行っていく時代が到来したのです。
ピロリ菌はいつ感染するのか
ピロリ菌の感染経路は正確には証明されていませんが、経口感染であると考えられています。
感染している両親から口移しで食べ物を与えると、5歳くらいまでは体の免疫機能が十分ではないため、ピロリ菌が体内に入り込むと、免疫機能で排除されず、持続感染に移行すると考えられています。
成人してからピロリ菌の感染をきたしても、免疫機能が十分働いているため、新規に持続感染をきたすことはありません。
日本での感染率は高齢者ほど高率で60歳以上で70%以上である反面、10歳代では5%程度と世代を経るごとに低下しています。
感染源として口移しだけでなく、上下水道などの公衆衛生、地下水、井戸水の使用、食器の共用なども現在では証明できませんが関与していたと推測されており、この極端な感染率低下は、これら公衆衛生の向上によるものと考えられています。
ピロリ菌はいつ感染するのか
ピロリ菌の感染経路は正確には証明されていませんが、経口感染であると考えられています。
感染している両親から口移しで食べ物を与えると、5歳くらいまでは体の免疫機能が十分ではないため、ピロリ菌が体内に入り込むと、免疫機能で排除されず、持続感染に移行すると考えられています。
成人してからピロリ菌の感染をきたしても、免疫機能が十分働いているため、新規に持続感染をきたすことはありません。
日本での感染率は高齢者ほど高率で60歳以上で70%以上である反面、10歳代では5%程度と世代を経るごとに低下しています。
感染源として口移しだけでなく、上下水道などの公衆衛生、地下水、井戸水の使用、食器の共用なども現在では証明できませんが関与していたと推測されており、この極端な感染率低下は、これら公衆衛生の向上によるものと考えられています。
ピロリ菌と胃癌の関係は
ピロリ菌は発見当初より胃癌の発生因子ではないかと疑われ、大規模な疫学調査で1994年世界保健機構がピロリ菌に発癌作用があることを発表しました。
胃癌の発生はまず幼児期のピロリ菌感染を経て、ピロリ菌が持続感染し、胃粘膜は慢性胃炎又は萎縮性胃炎の状態となり、30歳ごろから粘膜萎縮が進行し、胃癌の下地を作っていきます。
ただピロリ菌感染者が全員胃癌になるわけではなく、胃癌発生率はピロリ菌感染者の5~10%くらいといわれています。
ピロリ菌除菌治療へのすすめ
ピロリ菌感染を来していると、胃癌や潰瘍などのリスクがあり、感染を継続させておくメリットは全くありません。
そのため日本ヘリコバクターピロリ学会(www.jshr.jp)では、すべてのピロリ菌感染者の除菌治療を推奨しています。
しかし、実際治療を行うとなると年代により除菌による胃癌の予防効果に差がありますので、年代別に説明していきます。
- 30歳以下の感染者
- 胃癌の予防効果を考えると癌年齢になる前に除菌治療を行うことは非常に有益です。
よほどの理由がない限り治療を強く勧めるべきです。 - 60歳~40歳の感染者
- ピロリ菌感染が長くなり粘膜の萎縮が進行してきている場合が多く見られるようになる世代です。 癌予防率の試算からは十分な予防効果があると考えますが、除菌治療後に胃癌が発生する場合があります。 治療を行った後も定期的な内視鏡検査を行う必要があると説明する必要があります。
- 60歳以上の感染者
- 除菌治療を行って癌予防効果はありますが若年者と比較すると予防率が低下することを説明し、定期的な内視鏡検査が必要であると伝える必要があります。 ただメリットがないわけではありません。 この世代になってくると痛み止めであるNSAIDsの使用頻度が上がるため胃十二指腸潰瘍予防には除菌治療が非常に有用です。
ピロリ菌の除菌治療手順
まずは、病院でピロリ菌除菌治療について説明を受けてください。
その後上部内視鏡検査を行い、萎縮性胃炎、慢性胃炎と確定し、各種検査でピロリ菌陽性となった場合、保険にて除菌治療が可能となります。
1種類の胃薬と2種類の抗生剤を1週間内服するだけの治療ですので、治療自体は特に難しいものではありません。
除菌判定は4週間以上開けて行うと正式には記載されていますが、より正確に診断を行うために8週~12週後に除菌判定を行うことをお勧めします。
また除菌判定で推奨されているのは、呼気検査と便中抗原検査のみで、血液検査での抗体検査は1年以上抗体が残留する時があるのでお勧めしません。
除菌治療の副作用
除菌治療の副作用は長期的なものと短期的なものに分かれます。
短期的には、下痢、蕁麻疹、悪心嘔吐、味覚異常などがあり、長期的には逆流性食道炎のため胸焼け症状や食欲増加による糖尿病の悪化などが認められます。
- 下痢・軟便
- 下痢を起こしたり、便がゆるくなったりします。
- 味覚異常
- 食べ物の味を苦く感じたり、おかしいと感じたり することがあります。
- アレルギー
- 体に痒みや発疹が出ることがあります。